参考例:「能率」と「効率」の違いは?例文から分かりやすく解説!

「能率」「効率」は、どちらも「一定時間内にできあがる仕事の割合」のことですが、以下のような違いがあります。

  • 能率:時間に対する作業量の割合。いかに速くできるか。
  • 効率:労力や資金に対する成果の割合。いかに高い効果(時間・成果)があるか。

このページでは「能率」「効率」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

 

「能率」と「効率」の意味と例文

まず、「能率」「効率」の辞書での意味を確認しておきましょう。

【能率】
(一定時間内の)仕事のはかどる割合。

【効率】
その事をするのに消費した労力や時間から見た、成果の程度。

出典:『新明解国語辞典』

なんとなく違いはわかりますが、これだけでは適切に使い分けをするのは難しいですね。以下でより詳しい意味や例文を見ながらそれぞれの違いを確認していきましょう。

「能率」の意味と例文

「能率」は、それぞれの漢字の意味を組み合わせると「物事をやり切る力+基準」となります。「能率」は物事や仕事をやり切れるかどうかの基準となるもので、主に時間の観点から評価されます。時間通り、あるいは時間内に進んでいれば「能率が良い」、そうでなければ「能率が悪い」ということになります。例文を見てみましょう。

・BGMを流して作業をすると能率が上がる。
・そこまで行くなら電車に乗ったほうが能率的だ。

どちらの例文も時間的な観点が基準になっています。
BGMを流すことで作業スピードが速くなったり、電車で行ったほうが時間的に速く到着できるといったことを表す場合には「能率」を使います。

「効率」の意味と例文

では、「効率」はどうでしょうか。それぞれの漢字の意味を組み合わせると「力を尽くして成果を出す+基準」となります。「効率」は、やり切れるかどうか以上に、成果があるかどうかを基準とする言葉で、費やした労力や資金に対してどれだけの成果が出ているかという観点で評価します。

例えば、「費用対効果」という言葉がありますが、これも「効率」を示すものの一つです。かけた費用に対して高い効果や成果が出ていれば費用対効果が高く「効率が良い」ということになりますが、そうでなければ費用対効果が悪く「効率も悪い」ということになります。その他の例も見てみましょう。

・この新しいストーブは燃料の効率がいい。
・仕事と労働者のミスマッチが労働効率悪化の最大の要因だ。

新しいストーブは少ない燃料で部屋を暖かく保つことができ、燃料の量に対して効果が高いことを言っているので「効率」を使います。また、仕事の内容と労働者の能力が一致しなければ、時間がかかるだけではなく良い成果もだせないので「効率悪化」のように「効率」を使います。

 

「能率」と「効率」の違いと例文

このように「能率」と「効率」は意味が違うので、「能率が良くても効率が悪い」ということもあります。以下の例文のように、時間を短縮することだけを重視しても成果がでなければ、能率は良いが、効率は悪いということになってしまいます。

・一人でやる仕事を二人でやると能率は良いが、人件費が倍になるので効率は悪い。
・宿題の答えを写せば能率は良いかもしれないが、解けるようにはならないので効率は悪い。

では、「能率が悪くても効率が良い」ことはあるでしょうか。「効率」は効果や成果が出ているかどうかで評価されると書きましたが、効果や成果は総合的に判断されるものです。大きな結果が得られたけれど、とても時間が長くかかった場合は、効果や成果があったとは評価されにくいものです。そのため「能率が悪くても効率が良い」という状況はあまりありません。

「効率」は、時間も速いし成果も出ること、つまり一石二鳥が達成できるかどうかを示す言葉だと覚えておくといいと思います。

 

「能率」と「効率」の違いまとめ

「能率」「効率」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。
最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

  • 能率:時間に対する作業量の割合。いかに速くできるか。
  • 効率:労力や資金に対する成果の割合。いかに高い効果(時間・成果)があるか。

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