夏は楽しみが多い季節ですが、年々暑くなっているため、目的地を決めるのに困りますよね。
目的地を探している人におすすめなのが、ケイビングです。
ケイビングは洞窟探検といって、最近人気が出てきているアクティビティの1つなのです。
涼しい洞窟で非日常体験ができるケイビングですが、ケガや事故が起きているのは知っていますか。
この記事では、4回洞窟探検に行った筆者が、過去の事故例を紹介し、ケイビングを安全に楽しむための知識をご紹介します。
ぜひ、最後までお読みください。
なぜ事故が起きる?
洞窟内で事故が起きる原因は、注意不足や体力不足によるものです。
また、軽装備で洞窟に入ると大きなケガにつながります。
事故やケガをしないためにも、まずは、洞窟内がどのような環境か知りましょう。
洞窟内の危険箇所
数万年以上の年月をかけて自然が作りだした洞窟は、人がかんたんに歩けません。
ここでは、洞窟内にひそむ危険箇所をお伝えします。
- ツルツル滑る岩
- 流れてくる水で足場が不安定
- 頭上まで垂れ下がる鍾乳石
- 横幅がせまく通りづらい
- 天井が低い
- 天井と水面の間があまりない
- 足がつかない深さの地底湖
筆者は、足元へ注意を払すぎて低くなった天井に気づかず、2回頭をぶつけました。
1回目は観光客が多い鍾乳洞だったので、ヘルメットはありませんでした。
勢いよく頭を岩にぶつけたため、星がちらつくほど痛かった覚えがあります。
2回目はヘルメットを着用し、同様に頭をぶつけました。
ヘルメットがあるのと無いのとでは、痛みが全然違いますので、必ずヘルメットを着用してください。
洞窟内の環境をご紹介しましたが、アスファルトを歩くのとは全然違うとご理解いただけたでしょうか。
次に、洞窟内で事故が起きる、もう1つの原因をお伝えいたします。
体力・筋力不足
グループで行くアクティビティはとても楽しいですよね。
楽しみで眠れない人もいるのではないでしょうか。
しかし、ケイビングは寝不足による体力低下は致命的!
さらに、日頃から腕や脚を鍛えていない人には、ハードなアクティビティです。
洞窟を往復するときは、出口に戻る体力を十分に残しましょう。
登ったり降りたりを繰り返し、不安定な足場で緊張した身体は想像以上に疲れています。
そのため食事と睡眠、適度な筋力トレーニングをして、ケイビングを楽しんでください。
過去の事故例
日本洞窟学会の洞窟救助委員会が把握している、過去の事故例をわかりやすくまとめてご紹介します。
事故例 | ケガの程度 |
---|---|
迷子 | 軽~極度の疲労 |
転落、滑落 | 捻挫、打撲、骨折 |
落石、岩盤剥離 | 打撲、骨折 |
溺れた | 行方不明、溺死 |
単独行動による迷子、退路がわからなくなったなど未然に防げる事故から、溺れて命を落とす事故まで起きています。
ケイビングクラブに所属する人や、ツアーガイドといった経験値のある人でも事故を起こすのです。
初心者は一段と気を引き締めて、無理はしないでくださいね。
事故を未然に防ぐ方法
ここでは、ケイビング初心者が知るべきルールや知識をご紹介します。
学んでケガや事故を防ぎ、ケイビングを楽しみましょう。
事前準備やルールを知ろう
ケイビングをする上で必要な準備は以下です。
- 地権者の許可、同意を得る
- 入る洞窟の緊急連絡先を確認する
- 10回以上ケイビングを経験している人と一緒に入る
- 経験者がいなければガイドツアーを利用する
- 洞窟の外で待機する人を決める
- 測量図があれば入手に努め、コンパスを持参
- ヘッドランプは洞窟で過ごす予定時間以上使えるものにする
- 靴、ヘルメット、予備ライト、非常食、応急手当て用品、携帯用トイレ、エマージェンシーブランケット等を準備
洞窟に入るための計画書には、下記の内容を必ず記入してください。
・代表者/参加者全員の「氏名、年齢、性別、住所、電話番号、緊急連絡先」
・待機する人の「氏名、電話番号」
・「洞窟名、洞窟に入る日、入る予定時間、出る予定時間、装備」
・緊急時の「連絡手順、連絡手段、病院の情報等」
エマージェンシーブランケットとは、災害時や避難時に使用する極薄素材のブランケット。シルバーのものが多い。
洞窟内の歩き方を学ぼう
洞窟内を歩くときのワンポイントアドバイスです。
ぜひ参考にして、ケガや事故につながらないようにしましょう。
- 上下左右の状態をよく見て進む
- 中腰移動のときは鍾乳石が刺さらないように気をつける
- ガレ場の移動は慎重に
- 迷子はルール作りで回避
- 天井が低く、道が狭い場所はほふく前進で移動
- 縦穴の昇降は壁に両手足を突っ張り、地面に足をつけずに移動(チムニー)
- 水温の低い地下川や地底湖ではウェットスーツを着用
【上下左右の状態をよく見て進む】
自然が作った洞窟は、足元がデコボコしていたり、ツルツルしていたり、状況が変わります。
また、岩場を降りたり昇ったりしなければならず、急に天井が下がっている場所もあるため、四方を確認しながら進んでください。
顔を動かしにくい狭い場所では、無理に進まず、周囲を確認しながらゆっくりと進みましょう。
【中腰移動のときは鍾乳石が刺さらないように気をつける】
鍾乳石や天井のとがった岩で頭や背中をぶつける事例は多いもの。
頭はヘルメットが守ってくれますが、背中は服だけなのでケガをしやすいのです。
中腰から立ち上がるときは天井の高さを確認してください。
【ガレ場の移動は慎重に】
ガレ場は足元が不安定になるため、次の着地点を確認して進みましょう。
1人転倒すると、ガレ場が崩れて仲間も転倒する可能性があります。
【迷子はルール作りで回避】
退路がわからなくなり戻れなくなった事故が多発しています。
迷子はいくつかの方法で防げるので、以下を取り入れましょう。
①石を積み上げて目印を作る
②分岐となるポイントで後ろを振り返り、帰り道を記憶する
③枝分かれした道は、右にしか行かないルールを作る(帰りは左を通る)
④グループ全員で退路の記憶をする
石を積み上げて目印を作った場合は、退路時に崩してください!
【天井が低く、道が狭い場所はほふく前進で移動】
ほふく前進は、肘より下・膝やつま先を使って進みます。
天井が低く狭い場所では頭を横にし、手を前へ伸ばして指先とつま先を使って前進します。
洞窟の形によっては、うつ伏せではなく、仰向けや横向きになって進む場合もあるため、洞窟内を確認したうえで進み方を選びましょう。
ほふく前進だけではなく、天井を掴んだり、壁を蹴ったりして進むのも有効です。
【縦穴の昇降は壁に両手足を突っ張り、地面に足をつけずに移動】
チムニーと呼ばれる手法です。
基本は、壁に両手足を突っ張って進みますが、場合によっては背中と手足で突っ張る場合もあります。
チムニーをするときは、壁が剥がれないか目視したうえで進みましょう。
また、進むのが難しいと感じたら、無理に進まず引き返してください。
【水温の低い地下川や地底湖がある場合はウェットスーツを着用】
体温保持のため、地下川や地底湖がある場合はウェットスーツの着用を勧めます。
着替える場所が必要なため入洞から着ていきますが、動きにくくなるのが難点です。
なお、地底湖の深い場所では、初心者は飛び込まないでください。
地底湖での行方不明や死亡事故が1番多いのです。
正しく学べばケイビングは魅力的なアクティビティ!
ケイビング初心者は、初心者でも行ける洞窟を選びましょう。
難易度の低い洞窟であっても、経験豊富な人やガイドと一緒に行ってください。
疲れは注意散漫になる原因です。
事故につながりますので、適度に休憩をしながら進んでください。
必ずグループで行動し、1人も無理しないように声掛けをすれば、ケイビングは安全に楽しめます。
数万年の歴史を感じ、非日常空間を楽しみましょう!