幼いころ、祖父母や親に「スイカの種を食べたら、へそから芽が出てくるよ!」と言われた経験はありませんか?
筆者も祖母から言われて、種をお皿に出していた経験があります。
この「へそから芽が出る」とあまりにも信じがたい話はいつ、どこから生まれたのでしょうか。
子どもには事実を学んでほしいと考える親子さんのために、科学的な根拠を調べて執筆しました。
この記事では以下の内容を紹介しています。
- 「スイカの種を食べるとへそから芽が出る」の真実
- 迷信の由来と豆知識
- スイカの種は食べても大丈夫かどうか
この記事を読めば、お子さんに正しい知識を教えられます。
ぜひ、最後までお読みください!
「スイカの種を食べるとへそから芽が出る」はウソ
結論は、スイカの種を食べてもへそから芽は出ません!
これから、体内で芽が出ない理由と、種を食べたあとどうなるか解説していきます。
芽が出ない理由は体の中はスイカが育つ環境ではないから
スイカは気温が25~30℃、中性に近い土壌で育ちます。
一方、胃や腸の温度は約36~38℃と高く、体内のpHは胃が「強い酸性」、腸は「弱酸性」です。
種が発芽する環境と体内環境にずれがありますね。
下の図は、スイカが育つ環境と体内環境を比べました。
スイカの種にとって体内は、発芽できない環境なのです。
スイカの種は食べても便で出るだけ
食べたものが便として出てくるまでには約24~48時間かかります。
一方、スイカの種を土に植えた場合、発芽するまでに約1週間かかるのです。
便として出てくる時間と発芽までの時間にずれがあるため、体内で芽は出ません。
ポイント
スイカの黒い種は固く、消化されにくい物質が含まれています。
「スイカの種を食べるとへそから芽が出る」の由来はどこから?
一体、この迷信はどこから出てきたのでしょうか。
ここでは、2つの由来をご紹介します。
まずはスイカのルーツを知って、迷信の由来を探っていきましょう。
スイカのルーツ
スイカは南アフリカの砂漠で生まれ、ヨーロッパ、インド、中国を経由して室町時代の日本に渡来したと考えられています。
そして江戸時代になると、お金と交換する作物として栽培されるようになりました。
農家が種を確保するために言った説
「スイカの種を食べるとへそから芽が出る」という迷信は、農家にとって種がお金と同じ価値だったからではと考えられています。
江戸時代は現代と異なり、隣近所の人と一緒に子育てをしていました。
農作業を手伝ってくれた子どもたちにスイカを振る舞ったとき、種を食べられては翌年の栽培ができません。
実はスイカの種は約5年の寿命があると言われており、種を植えれば実がなるのです。
そのため、子どもたちに種を食べさせないように農家が言ったのではないかと考えられています。
スイカは体を冷やす食べ物説
もう1つの説に、「体を冷やす食べ物のため」とあります。
食べ物には、体を「温めるもの」と「冷やすもの」があるのはご存じですか?
スイカは体を冷やす食べ物に分類されます。
食べ続ければ体によくないため、子どもに種を取らせて冷えすぎを防ぐために迷信が生まれたと考えられています。
スイカの種は食べても大丈夫!しかし食べすぎはダメ!
スイカの種は便として排出されるので、食べても問題ありません。
しかし、食べすぎは禁物!
生のスイカの種には消化不良を起こす「アブシシン酸」が含まれています。
この成分は体内に蓄積されると、すい臓がんの原因になるため、生の種を食べるのはおすすめしません。
隣国の中国ではスイカの種を塩で炒り、殻を割って食べられています。
種には葉酸・鉄分・ビタミンB6・ビタミンE・カリウムなど、多くの栄養素が含まれているのです。
興味のある人は、調理してナッツのように食べてみてください!
迷信はあながち間違いではない
「スイカの種を食べるとへそから芽が出る」という迷信はウソですが、生の種は体によくないとわかりました。
子どもに種を食べさせないために言った迷信は、現代でも使えるようです。
高学年のお子さんには、スイカを食べながら、この記事でご紹介した雑学を披露してはいかがですか?