「不勉強」「勉強不足」は、どちらも「物事についての勉強が不足していること」の意味ですが、以下のような違いがあります。
- 「不勉強」とは、勉学に励む努力を怠り、十分な知識を得られていない
- 「勉強不足」とは、勉学に励んでいるが、十分な知識には達していない
このページでは「不勉強」「勉強不足」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。
そもそも「勉強」の意味とは
まず、「不勉強」、「勉強不足」どちらにも使われている「勉強」から説明します。
「語源由来辞典」によると、「勉強」とは「経験を積んで学ぶこと、物事に精を出すこと」とされています。
中国から入ってきた言葉ですが、本来は「あまりしたくないことを仕方なくする」の意味でした。明治以降、知識を得るため励むことが美徳となり、「学習」とほぼ同じ意味で使われるようになったとされています。
そのため「勉強」には「学ぶ」の他に、「努力する、励む」など意味があるようです。
「不勉強」と「勉強不足」の意味と例文
まず、「不勉強」「勉強不足」の辞書での意味を確認しておきましょう。
【不勉強】
- 勉強が足りないさま、あるいは勉学に励むべきだと反省するさまなどを意味する表現。
- 勉学が嫌いで努力しないこと、またそのさまなどを意味する表現。
【勉強不足】
- 知識や経験が不十分なさま、そのために物事を満足にこなせない様子、などを意味する表現。
- 勉学が足りていないさま、もっと勉学に励むべきだと反省される様子などを意味する表現。知識の欠如や調査が不十分である様子などを指す場合が多い。
なんとなく違いは分かりますが、実際に使うときどちらを使うとよいか分からないのではないでしょうか。
以下でより詳しい意味や例文を見ながらそれぞれの違いを確認していきましょう。
「不勉強」の意味と例文
「不勉強」は、「不」と「勉強」を組み合わせた言葉です。
「不」は、言葉の前につけて、その言葉の意味を打ち消します。weblio辞書によると、「〜しない、〜でない、〜がない、〜がよくない」を意味するとされています。
「経験を積んで学ぶこと、物事に精を出すこと」を「不」で否定し、【勉強が足りないさま、勉学が嫌いで努力しないこと】を表します。
実際に使われる際は、知識不足ではなく、努力が足りないと表現する場合に使われます。
例文を見てみましょう。
- 自社の役員の顔と名前を知らないとは、不勉強では困るよ。
- 営業先の社長がゴルフ好きだったとは、不勉強だった。
「自社の役員の顔と名前を不勉強」とは、顔と名前を覚える努力を怠ったと表現しています。暗に呆れや非難を示しているかもしれません。
また「営業先の社長がゴルフ好きであることを不勉強」とは、知ろうと努力しなかったと表しています。すべきであったと反省も表現しているでしょう。
このように「不勉強」は努力が足りない、あるいは努力を怠っていると示す時に使われます。また怠ったことを咎める場合や、反省を表すことも多いでしょう。
「勉強不足」の意味と例文
「勉強不足」は、「勉強」と「不足」を組み合わせた言葉です。
weblio辞書によると「不足」の意味は、「足りないこと、不十分」とされています。
「経験を積んで学ぶこと、物事に精を出すこと」が足りない、つまり【知識や経験が不十分なさま】を表します。
「不勉強」とは異なり、知識が不足している時に使われます。
例文を見てみましょう。
- 今回のTOEICは勉強不足のため、思うような結果を得られなかった。
- 目標を達成するには、私はまだまだ勉強不足だ。
「今回のTOEICは勉強不足のため」は、テストのために勉強しています。しかし勉強が不十分だったと表現しています。
また「目標を達成するには、勉強不足だ」も目標達成のために、日々励んでいるのでしょう。ただ知識がまだ足りていないと表しています。
このように精一杯努めているが、知識が足りていないと表す時に「勉強不足」という言葉が使われます。
ビジネスマナーの言葉遣い|不勉強と勉強不足の違いと使い方
最後に、「不勉強で申し訳ございません。」と「勉強不足で申し訳ございません。」を説明します。
これら2つはビジネスの場で、「わかりません」をスマートに表現するとされています。意味や使い方など、違いはあるのでしょうか。
齋藤孝氏による「大人の語彙力」によると、以下のような記載があります。
「勉強不足で申し訳ございません」
「わかりません」では、能力を疑われてしまいます。この場合は、「勉強不足で申し訳ございません」などと答えると、反省の意図が伝わり、傷口が広がるのを防ぐことができます。
「不勉強で申し訳ございません」
勉強不足とほぼ同意で使われます。「不勉強で・・・」と言うと、ただ「わからない」ではなく、「努力が足りていませんでした」という反省のニュアンスが伝わります。
著者名:齋藤孝 , タイトル:「大人の語彙力」 , 出版社:SBクリエイティブ , 発行年:2017年
どちらも「わかりません」と伝えると共に、反省も表現できるようです。印象もよくなりますので、どちらかを使うとよいでしょう。
さらに「努力が足りていませんでした」と伝えたいときには、「不勉強で申し訳ございません。」を使うと好印象です。
しかしこれらの言葉は社会人経験の浅い人しか使えません。社歴や社会人経験の長い人が使うと、変に思われますのでご注意ください。
「不勉強」と「勉強不足」の違いまとめ
以上「不勉強」と「勉強不足」の違いと正しい使い分けが、おわかりいただけましたでしょうか。
最後にもう一度、使い分けのポイントをお伝えします。
- 「不勉強」とは、勉学に励む努力を怠り、十分な知識を得られていない
- 「勉強不足」とは、勉学に励んでいるが、十分な知識には達していない
ぜひ、この記事を参考にして意味や使い方をマスターしましょう。