「意志」「意思」は、どちらも「何かをしようとする気持ちや考え」を表しますが、以下のような違いがあります。
- 「意志」は、心に決めた目的や目標を目指す気持ち
- 「意思」は、思い浮かんだ気持ちや考え
このページでは「意志」「意思」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方をわかりやすく解説しています。
「意志」と「意思」の意味と例文
まず、「意志」と「意思」の辞書での意味を見ておきましょう。
【意志】
目標を定めた心の様子【意思】
「考え」や「思い」で、行動や選択をする際の元となる内的な心の動き引用元:weblio辞書
なんとなく違いはありますが、辞書の内容だけでは中々使い分けするのは難しいですよね。
以下でより詳しい意味や例文を見ながら、それぞれの違いを確認していきましょう。
「意志」の意味と例文
「意志」の意味は、【目標を定めた心の様子】を表します。
その際、ポイントはゴールが明確である点です。
「志」は目的や目標、目指す方向への気持ちを表し、心の持ち方を指す言葉でもあります。
例文を見てみましょう。
- 彼はプロジェクトを成功させたい意志がとても強く、何があっても諦めなかった。
- 習慣化したい意志があり、できない理由を見つけては改善を繰り返している。
「プロジェクトを成功させたい意志」「習慣化したい意志はある」とは、どちらも「〜したい(〜したくない)」と心の動き・目標を表すため、積極的な行動として現れます。
「彼の意志はとても強く」では、意欲を表現する意味で使用できます。
また、気持ちの強さを「意志が強い」「意志が弱い」と強弱で表現可能です。
意志を使う四字熟語に「意志薄弱」がありますが、これは「意志が弱くて決断できない様子や決めた物事をコロコロ変えてしまう様子」を表します。
こちらは意欲を意味する言葉としての使用です。
「意思」の意味と例文
一方「意思」はどうでしょうか。
「意思」の意味は、【「考え」や「思い」で、行動や選択をする際の元となる内的な心の動き】を表します。
「意志」と違う点は、方向性を定めておらず、気持ちや考えの出発点であるところです。
「思う」は、単に心の中に思い浮かんだ状態を表します。
こちらも例文を見て見ましょう。
- 周囲の人に意思を伝える努力をした。
- 友人の意思を尊重して、サポートにまわる。
「意思」は心の中に思い浮かんだ状態なので、「意思を伝える」のように、何かしらの表現をしないと相手は理解できません。
「意思を尊重」と使われるように、気持ちや思いに重きを置いた意味で用いられます。
「意思」を使う四字熟語に「意思疎通」や「意思決定」があります。
「意思疎通」は「お互いの考えを伝えて理解する。認識を共有する。」のような意味で、気持ちや思いに重きを置いた表現として使われていますね。
一方で、「意思決定」の意味は、「目標達成のために最善の選択をする。」ですが、こちらは方向性が定まっていません。
出発点にいて、これから選択するなどの行動を取っていく必要があります。
「意志」と「意思」の英語表現
「意志」と「意思」を英語で書くとどうなるでしょうか。
「意志」は、「will」で表現でき、「(名詞として)意志、(助動詞として)〜するつもりだ / 〜しようと思う」と訳せます。
中学生の時に習った「〜だろう」と未来を表現する助動詞の印象が強いものの、意志を表現する意味にも使われます。
- I have a strong will to make this project a success.:このプロジェクトを成功させる強い意志がある。
「意思」は、「mind」で「(思考・意志などの働きをする)心、思考や意見」と訳せます。
知性に基づいた心を表現しますが、感情を含めた心は「heart」で表すので区別が必要です。
- I have something in mind for our project.:私たちのプロジェクトについて考えている。
英語表現を見てみることで、より違いを感じやすいのではないでしょうか。
「意志」には方向性があり、「意思」は単に考えであることがわかりますね。
「意志」と「意思」の違いまとめ
以上、「意志」と「意思」の違いと正しい使い分けが、おわかりいただけましたでしょうか。
最後にもう一度、使い分けのポイントをお伝えします。
- 「意志」は、心に決めた目的や目標を目指す気持ち
- 「意思」は、思い浮かんだ気持ちや考え
ぜひ、この記事を参考にして意味や使い方をマスターしましょう。