昔話の桃太郎には知られざる起源や由来、様々な都市伝説があります。
それぞれどのような諸説があるのか気になりませんか?
当記事ではこれら3つの事柄を、詳細に解説していきます。
この記事でわかること
- 桃太郎の起源・由来・都市伝説の詳細
- 日本昔話にまつわる日本神話
読み終えたころには、桃太郎にまつわる様々なことが深く知れるようになっています。
また、物語を違った視点から見られるようになること間違いなしです。
ぜひ最後まで、お読みください。
【昔話】桃太郎の起源:2つの日本神話
(株)リグネが運営するブックメディアホンシェルジュによると、桃太郎の起源は様々な日本神話から成り立っています。
- 「イザナギ・イザナミ伝説」
- 「吉備津彦命の温羅伝説」(以下きびつひこのみことのうら伝説)
この2話が、代表的な日本神話です。
順番に解説していきます。
イザナギ・イザナミ伝説
1つ目は日本最古の神話とされる「イザナギ・イザナミ伝説」です。
イザナギとイザナミは日本で初の夫婦とされています。
そして、日本国土を形成する神々となる、多数の子供を授かりました。
そんな中、妻イザナミは、火の神カグツチを産んだ際に亡くなってしまいました。
妻の死を嘆いたイザナギは、逢いたい気持ちを捨てきれず、亡きイザナミのいる黄泉国(以下よみの国)へ行きます。
そこでイザナギは、よみの国の食物を口にし、やつれてしまったイザナミの姿を見て逃げ出してしまいました。
その行動にイザナミは悲しみと怒りに満ち、鬼と化け女たちにイザナギの後を追わせました。
必死に逃げるイザナギが、鬼と化け女たちを撃退したときに用いたのが、道中にあった桃だったのです。
この出来事により、桃はイザナギから大神実命(おおかむずみ)という神名を与えられました。
こうした話から、鬼を退治するときの桃がイメージ付けられたとされています。
きびつひこのみことのうら伝説
もう1つの代表的な神話が「きびつひこのみことのうら伝説」です。
この神話は、桃太郎の舞台が、岡山県にあることを示しています。
現在の岡山県である吉備国(きびのくに)でうらという鬼が、民に悪事を働いていました。
孝霊天皇の皇子であったきびつひこのみことがそれを目にし、うらの征伐を決意しました。
鬼ノ城(きのじょう)で決戦を挑んだきびつひこのみことでしたが、うらによる山ほどの岩を次々と投げ入れてくる戦法に苦戦します。
しかし、きびつひこのみことは2本の弓を同時に放ち、1本をうらの目に命中させました。
うらの目からは、血が大量に流れ、現在の血吸川(ちすいがわ)になります。
そして、うらは鯉に姿を変え、その川に隠れました。
しかし、きびつひこのみことは鯉に変化したうらを見逃しません。
きびつひこのみことも鵜に変化し、川の中でうらを捕らえました。
この神話から、きびつひこのみことこそが、桃太郎の起源とされている説もあります。
【昔話】桃太郎の由来:神聖な食べ物とされていた桃
「イザナギ・イザナミ伝説」にもある通り、桃はイザナギにより神聖な食べ物とされていました。
そして後世にもこうした言い伝えが受け継がれました。
- 桃を口にすることで、体の老化を防ぎ、寿命が延びる
- 桃を神社に祀ることで、村から魔物を追い払う
すなわち、鬼退治が村から魔物を遠ざける意味と重なります。
「桃太郎という縁起のよい名前の少年が邪気となる鬼を退治する」という構図に合わさっていますね。
【昔話】桃太郎の怖い都市伝説
桃太郎にも様々な都市伝説が存在します。
ここでは以下の4つの都市伝説を取り上げます。
- 実は桃から生まれていなかった
- 犬・猿・雉が家来である理由は日本の十二支と関係
- 討たれた鬼が桃太郎にスパイを送り込み
- 金銀財宝の取り分けを巡る各々の自己本位な考え
それでは、順番に見ていきましょう。
実は桃から生まれていなかった
桃太郎は桃から生まれたとされていますが、本当は桃から生まれていない説があります。
これにも様々な説が飛び交うのですが、怖く感じる説は、桃太郎は「間引き」された子ということです。
間引きとは、昔の日本にあった風習で、子を捨てる意味があります。
桃太郎は川のある地域で生まれ、捨てる子どもを川に流すようにされていました。
すなわち、桃太郎は川へ間引きされ、流れている道中、川で洗濯をしていた婆さんに拾われたのです。
一度は家族から捨てられていたことを考えると、すごく怖いですよね。
犬・猿・雉が家来である理由は日本の十二支と関係
家来がなぜ、犬・猿・雉であるのかは、日本の十二支が関係しています。
日本の十二支を方角に置き換えながら説明します。
昔の日本では、北東は鬼や邪気などが出入りする「鬼門」の方角とされていました。
北東にあたる十二支は鼠・牛・虎です。
そして、正反対となる「裏鬼門」の方角は南西であり、そこに位置する十二支が犬・猿・鳥なのです。
これらを論拠に、裏鬼門の十二支にあたる動物が、桃太郎の家来になったとされています。
牛や虎を家来にすれば最強タッグとなったかもしれません。
しかし、牛と虎は鬼門の十二支にあたるため、タブーになってしまいますね。
鬼討伐へのゲン担ぎとなるように、裏鬼門にあたる十二支の犬・猿・雉が家来となったのです。
討たれた鬼が桃太郎にスパイを送り込み
この都市伝説には、「桃太郎元服姿」と言われるお話があります。
1779年に書かれた内容では、以下のように綴られていました。
- 鬼たちが桃太郎から財宝を取り返そうと、1人の娘をスパイとして桃太郎のもとへ派遣
- スパイの娘は鬼たちに、財宝の奪還と桃太郎への報復を命じられる
- 桃太郎一家と共に生活していくにつれて、スパイの娘は桃太郎に惚れこんでしまう
- スパイの娘は鬼たちからの使命と、桃太郎への恋心のジレンマに耐えきれず、生涯を自分の手で終えた
桃太郎へのリベンジを命じられた反面に、桃太郎へ禁断の恋に陥りそうになるスパイの娘の儚さが伝わってきますね。
金銀財宝の取り分けを巡る各々の自己本位な考え
鬼退治を終えた桃太郎一行は、奪い返した金銀財宝を一体どうしたのでしょうか。
これには、登場人物それぞれに、「我こそが一番多い取り分けをもらうべきだ」と考えていた説があります。
桃太郎:これらの財宝は、それぞれの持ち主に返上しに行くべきなのだろう。ただ、鬼退治をしたのであるから、その褒美として貰っても、何も罰はないだろう。
犬:一番弟子であるうえに俺の牙で鬼たちをひるませた。そして、鬼ヶ島へ船を速く到着させたのも、漕ぎ手の俺の力があってだ。
猿:俺がいなければ鬼ヶ島の城の門を開けることはできなかった。この一行の中で一番大きな功績と言えるだろう。
雉:城を攻めに行った際に、唯一上空から奇襲を仕掛けて、闘いを有利に持っていったのはこの私だ。そもそも上空からの探索もなかったら、鬼ヶ島へ辿り着いていたかどうかも怪しい。
家来それぞれは、鬼退治への自分の貢献を大層棚に上げ、4人の中で一番多い分け前を欲していました。
しかし、桃太郎に関しては、その言い分から、分け前の量はさほど気にしていませんでした。
桃太郎たちは、財宝をいったんは爺さんと婆さんの家に持ち帰ります。
しかし、そこで財宝を目にした2人も、目の色が変わってしまったのです。
爺さん:なんという輝かしい財宝じゃ!田舎の貧乏芝刈り生活とはおさらばじゃな。桃太郎はまだ子供じゃし、この家の主であるわしが財宝を管理しよう。財宝を手に、わしは都で名を挙げてみせよう。
婆さん:これはこれは、豪華な財宝ですこと!私が川で桃太郎を拾っていなければこのようなことは起こらなかった。この財宝と共に都へ行けば、優雅な暮らしが待っているわ。
桃太郎は家来たちと2人の財宝への思惑を知った時に、醜さを感じ、そこで下した決断が家出です。
その後桃太郎は、財宝を片手に独り身で都へ出て、剣術の道場を開きました。
桃太郎が家を出て行ってからの行方にも諸説があります。
しかし、本当の行方は誰も知らなかったとされています。
日本神話に興味を持ったら「古事記」を読もう!
この記事では桃太郎の起源説として、「イザナギ・イザナミ伝説」と「きびつひこのみことのうら伝説」を紹介しました。
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日本神話に興味を持ちましたのであれば、「古事記」を読んでみませんか。
古事記を手にして、様々な日本神話を楽しんで読んでいってください。